百貨店の凋落がささやかれて数年たちますが、皆さんは洋服はどこで買ってますか?ユニクロ?ヨーカ堂?セレクトショップ?それとも買わない?十数年前までは服は百貨店で買うもの、と思っていた40〜60代の方も多いと思います。消費者は画一的な百貨店の洋服売り場から遠ざかり、専門店やセレクトショップで買い始めます。しかし、百貨店も黙ってはいません。業界内でも革新的な経営手法で一目置かれている「大丸松坂屋百貨店」が2021年3月にレディースブランド服のサブスクリプションサービス「AnotherADdress(アナザーアドレス)」 を開始しました。40代の働く女性をメインターゲットにした、この月額制ファッションレンタルサービス、多くの媒体にも取り上げられているので、気になって入会を検討している方も多いはず。そこで業界の内外で、また消費者の評価はどうなっているのかを紐解いていきます。
「AnotherADdress(アナザーアドレス)」とは?
J.フロント リテイリング傘下の大丸松坂屋百貨店が2021年3月に開始したブランド服のサブスクリプションサービスです。今までは大型店舗に幅広い品揃えで、大量集客大量消費で商売していた百貨店はここ数十年でビジネスモデルの抜本的な変革を求められてきました。独特な商習慣の上に成り立っていた商売では消費者に飽きられてしまったのです。そんな従来の百貨店ビジネスからの脱却を目指した大丸松坂屋百貨店の上層部キモ入りのサービスが「アナザーアドレス」です。
サービスの内容は、月額1万1,880円(税込)で毎月好きなブランド服を3着までレンタルできます。そしてなんと!2022年10月より、「月額5,500円の1着ライトプラン」が新登場しました!「月に1万円を超えると申込みを躊躇ってしまう」「月に3着は多い」「もう少しスポットで使いたい」などのお客様からの声を反映した新プランです!また、2023年3月1日から、「月額22,000円でもうちょっと借りたいスタンダードプラスプラン」が新登場!つまり、2023年3月からはこうなります👇
- ライトプラン:月額5,500円(税込)で1着レンタル
- スタンダードプラン:月額1万1,180円(税込)で3着レンタル
- スタンダードプラスプラン:月額22,000円(税込)で5着レンタル【NEW‼️】
選んだ服が自宅に届き、配送料やクリーニング代は料金に含まれており、借りた服が気に入れば買い取りも可能です。国内外のブランドの正規品を、自由に組み合わせて選ぶことが可能です。取り扱いブランドは「マルニ(MARNI)」「メゾン マルジェラ(Maison Margiela)」「3.1 フィリップ リム(3.1 Phillip Lim)」「シー バイ クロエ(See By CHLOE)」といったデザイナーズブランドも多数揃い、ファッション通なら「これも?これも?借りられるの!?」と声が出そうなラインナップです。発表当時は「百貨店業界初の高級アパレルのファッションレンタル」と注目を浴びました。公式サイトを開いてみると、「ご好評につき、プラン申込(有料)のご案内までお時間をいただいております。会員登録から1ヶ月以内のご案内となりますので、宜しければ、まずは会員登録をお願いします。」と表示されるほど人気のサービスとなっています。
ここでも注目情報です!10月1日より入会制限を解除するとのことです!!!2021年3月のサービス開始以来、計画を大幅に上回る利用で上記のように新規入会が制限されていましたが(最近だと利用開始まで1〜2週間待ち?!)、企業努力により取り扱いブランドの拡充やアイテム数の増加が見込めたことで新規入会制限を解除するということです!
つまりは、10月1日からは、すぐに入会できて、月額5,500円(税込)からブランド服をレンタルできる!ということです!これは利用しない手はありませんね!
「アナザーアドレス」取り扱いブランドは?
国内外のレディースデザイナーズブランドを中心に展開されています。開始当初の取り扱いブランドは50ブランドでしたが、サービス開始から1年を機に113ブランドに拡充されています。詳細は以下のリンクより公式サイトをご参照ください。
大丸松坂屋百貨店とは?
J.フロント リテイリング傘下の百貨店で、老舗百貨店の「大丸」と「松坂屋」を運営する事業会社です。百貨店のビジネスモデルからの脱却に早くから取り組んでおり、不動産ビジネスへの傾斜を鮮明にしてきました。例えば、松坂屋銀座店を閉めその跡地に「GINZA SIX」を2017年にオープンさせ、外部テナントへの貸し出しを100%にして自社売場を徹底的に圧縮する賃貸ビル業が好例です。また、外商ビジネスへの注力も競合百貨店よりも強く、近年のコロナ禍ではリモートでも商談も加速させた商魂逞しい百貨店なのです。その大丸松坂屋百貨店が、この服が売れない時代に敢えて百貨店小売ではない業態で挑戦した、と言えますね。
「アナザーアドレス」メリット・デメリットは?
メリット
- 普段着ないブランドや、気になっていたブランド・アイテムを試すことができる
- 海外デザイナーズブランドが豊富
- ブランド別・アイテム別・シーン別など選ぶ際の切り口が豊富
- LINEで案内が来て、気づきやすい
- 交換が1回無料でできる
- 配送料・クリーニング代が含まれる
- 気に入ったら会員価格での買取も可能
- 休会(有料会員をやめる)・退会(サービス自体をやめる)に縛りがない
デメリット
- 会員登録(無料)してからプラン申し込み(有料)ができるまで時間がかかる(2023年6月現在解消)
- LINEのアカウント連携と友達追加が必須
- 自分で選ばないといけない
- アイテム同士の組み合わせがイメージできず難しい
- サイズ選びに悩む
- 多くが古着である
- 取り扱いブランドは多いが、各ブランドのアイテム数が少ない
- 借りたい服が貸出中のことが多い
- 基本的には自分で洗濯はできない
- 回復できない汚破損の場合は修繕費用の負担が必要
「アナザーアドレス」メンズは取り扱いがあるのか?
2022年4月現在メンズの取り扱いはありません。しかし問い合わせが非常に多く将来的には展開されることが予想されます。2021.4.1に行われたFASHIONSNAPによる大丸松坂屋百貨店澤田社長へのインタビューでも「メンズに関しては現時点で問い合わせが多く届いていて、将来的には取り扱いたいと考えています。」と、明言されています。ファッショニスタの男性は期待して待ちましょう。
最新情報です!2023年3月1日からファッショニスタ待望のメンズ規格アイテムの取り扱いが開始されました!先日開始されたばかりのスタンダードプラスプランなら月額22,000円(税込)で5着レンタルができます。家族でシェアもできますので、卒業入学シーズンの今時期にはもってこいのサービスではないでしょうか?
「アナザーアドレス」口コミは?
サービス開始から約1ヶ月で会員登録者数が4,000人に到達、物理的にサービス提供が難しくなり新規の会員募集を停止したこともあるようです。今でも有料の本登録ができるまでに1ヶ月程度時間がかかるので、人気は高止まりしていると言えるでしょう。実際の利用者の声としては、以下のようなものがあるようです。※2023年7月追記:今はとてもスムーズに入会できて、入会後すぐにレンタルができます!
- コスパ最強
- 気になっているアイテムを購入前に試着感覚で借りられる
- 自分では選ばないブランドやデザインにチャレンジできる
- リモートでの会議が増えたので、画面映えするブラウスを借りて着回せる
- 借りたいものが借りられない
- アイテム数が少ない
- 特殊なデザインや素材が多く、汚破損の機会が少なくない
- 服を手放すときに生じる、もったいないという心の葛藤から解放された
- 1カ月着てみることで、好きな服と似合う服のギャップに気付けた
- 値段を気にせずさまざまな服が着られるのが楽しい
上記のメリット・デメリットにあるようにプラスの口コミもあればマイナスの口コミもあるようです。このようなサービスには良い評価も悪い評価もあるのが通常ですね。
「アナザーアドレス」業界内の評価は?
写真のみでスタイリングを考えるのにやや苦戦
一方で“銘品”アイテムのお試しの場として期待
WWD JAPAN
日本でもサステナビリティへの関心が高まり、「買う」から「借りる」動きが徐々に広がりつつある中、百貨店発のファッションサブスクリプションサービスがどこまで勢いを伸ばすことができるのか、今後の動向に注目したい。
FASHIONSNAP.COM
「アナザーアドレス」始め方
アナザーアドレスを利用する際は、まず公式サイトで会員情報を登録します。ここでLINEアカウントの連携が必須となっていますので、ご注意ください。メールアドレスなどを入力して会員情報を登録した後にLINE連携をすると、有料のプラン申し込みの案内が届来ますので、待ちましょう。
まとめ
以上のように、アナザーアドレス は百貨店ならではのコネクションを活かし、ブランド公認でラグジュアリーやコンテンポラリーブランドを取り揃えている点を「サービスの根幹でありながら強み」としています。またサスティナブルな取り組みとして東京芸術大学や三菱ケミカル、ワコールと手を組み環境改善の好循環を生み出す工夫もしていることから、これらの日本の社会に受け入れられると思います!
☆競合他社のファッションレンタルサービス☆ ・エアクローゼット 会員数:70万人(2022年2月時点) 月額料金:税込7480円(※ライトプラン)〜 ・メチャカリ 有料会員数:3万人(2019年12月時点) 月額料金:税込3278円(※ライトプラン)〜 ・エディストクローゼット 会員数:1万7000人(2018年11月時点) 月額料金:税込8360円(※12ヶ月契約プラン)〜
コメント